扉を開けて

兼古 朝知  2010-04-03投稿
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ある日、友人が私の家に泊まりがけで遊びに来ていた。
夜になり、私たちは私の部屋で他愛もない話に花を咲かせていた。

友人は私に言った。

「ねぇねぇ、ちょっと怖い話していい?」

「いいよ!どんなの?」

好奇心の強い私は、快く承諾した。

「じゃあ、今からアタシが言うことを思い浮かべてね?」

友人は語り始めた。



――あなたの家の玄関を思い浮かべてください。
あなたは玄関に立っています。
あなたは家の扉という扉を開けていきます。
全て開けた後、あなたは玄関に帰ってきます。
…その間、あなたは誰かと会いましたか?



友人は話し終えた。

「? それだけ??」

私が問うと、友人はニッと笑って言った。

「だからさ、思い浮かべてる中で誰かと会った?」
うーんと私が先ほどの想像を思い起こし、ふと気がついた。
目の前にいる友人が、想像の中の私の部屋にいた気がする。

「あんたがいたよ」

私が言うと、友人は一瞬 動きを止めた後で、苦笑いを浮かべて言った。

「その人は近々 死ぬんだってさ」

まぁ、ただの そういう怖い話なだけだけどね、と友人は また笑った。

「そーなんだ!!ホントに死んだらウケるねー!あ!てゆーか、知ってた!?」

「何々?」

勿論 そんな非科学的話を信じることはなく、私たちは違う話を始めた。


その時だった。


突然、家中の明かりが
フッ…と消えた。

「やだ、停電?」

「私 ブレーカー見てくるよ。待ってて」

私が立ち上がって懐中電灯を手に取ろうとした瞬間。



――バァンッ!!!!



扉が、勢いよく開いた。



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