「う゛ぇえぇぇぇえん!!ぅえぇぇええぇん!!」
「ごめん!!な!?晶!晶ってば〜!!」
「晴一にぃさんが泣ーかせたッ!!」
ただ泣きじゃくる晶と、とにかくあやそうと必死になる晴一を見ながら、水鶴は楽しそうに言う。
「ミッチ〜。笑い事じゃないんだって〜」
晴一は困ったように苦笑する。この頃の晶には、「バカ」はタブーだった。
晴一は、晶が泣くと親に叱られるので、どうにか泣き止ませようと必死になっている。
「ごめんってば、晶〜。俺が悪かったって…」
「う゛〜ぅぅう…ぐすっ、うえぇえぇ…」
晶は まだ泣き止まない。
(やばいやばい!!お母さんに見つかったら何て言われるか…!!)
「…晴一にぃさんのやり方がダメなんだよ」
今まで笑って眺めていた水鶴が、ひょいと前に出た。
「え?」
「ほら、晴一にぃさん、ちょっと どいてみて?」