子どもは家を選べない〜その39〜

真理康子  2010-04-04投稿
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このような、結衣子さんが、曲がりなりにも家庭内での陰湿な事象に屈しないことが、彼女の成長過程で形成されていったことは、実に稀で、ある意味、勝者の成功事例である。

いかに、私ども、児童虐待防止アドバイザーの肩書きを持つ立場の人間が真剣に虐待をなくしたいと思っても、すべての家庭に入り込めるわけがない。

また、手遅れになったが、近所の通報を受けて家庭訪問をした仲間が、家族ぐるみの虐待が行われているのを見抜けなかったこともある。
悲しいことに、幼児に至っては、自分の生まれ育った環境が【自分の家】であって、食事を与えられる唯一の場所であることから、この場(家庭)を悪く言うことで、私どもが帰ったあと、今までより環境がさらに酷くなることを怖れて本当のことを言わなかったり、不快感を感じていないような表現をしたりする。

ましてや、体罰もなく、結衣子さんのように社会的にも活躍し、友人に恵まれている方から、そのような背景は想像さえ及ばない。

結衣子さんが成功事例であることにヒントを得るならば、ありとあらゆる想定に耐えられるよう、子どもたちに自信を持たせる仕掛けを作ることである。
それと、家庭に常時いる者に、愛ある子どもへの対応を呼び掛けることである。

結衣子さんが家庭外で生涯の支えを得たということは、彼女が家庭に満足してはいなかったことが一因である。

虐待防止には、各々の心の持ちように対する仕掛けも必要だということも肝に命じる必要があるだろう。



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