天使のすむ湖22 岬の回復

雪美  2006-08-23投稿
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 今だからこそ、言えそうな気がした、俺の決意と覚悟を・・・

岬に真顔で向き合うと、きょとんとして俺を見ていた。
「岬に今日は聞いてもらいたい話があるんだ、まずは黙って聞いてくれるか?今話しておきたいことなんだ。」
岬の目が少し悲しそうだったが、こくんとうなづいた。
「俺はずっと考えていた、岬のことと香里のことと、どうしたらいいのか、そこで、俺は二人とも手放したくない、今はそう思ってる、卑怯かもしれないけど、比べたりは出来ないんだ。すまない、」
深く頭を下げたが、上から岬は続けた。
「頭を上げて、私最後まで聞くから、まだ続きがあるんでしょう。」
頭を上げると、泣き出しそうな岬の顔が俺の目の前にあった。
言葉がなかなかでないでいると、
「私ね、一樹がこうして毎日きてくれたからだんだん良くなってきたのよ、だから、何聞いてももう逃げないって決めたから、心配しないで続けて。」
もう一度向き直った。
「今は香里の脳腫瘍のこともあって、もちろん亡くなるまでまがあるけど、香里のそばにいてやりたいんだ。そして、ここから岬には負担が大きいかも知れないが、香里を看取るまで待っててもらえないだろうか?もちろん、岬がよければだけど、最初に言ったように二人とも好きなんだ、俺の中の大事な人なんだ、こんな都合のいい話気分悪いよな、ごめん。」
以外にも岬は
「私何年でも待ってる。捨てられると思っていたから嬉しい、待ってていいのよね。」
そう言った。そして、確かめるように俺を見つめていた。
「待っててくれ、それしか、言えないけど・・・」
「うん、待ってる、一樹が戻るまで女磨いてきれいになって、もう一度惚れ直してもらえるようにして、待つわ。」
窓の外は夕日が赤々と燃えるように染めていた。

岬はしっかり者で、その場でレポート用紙に、香里が亡くなったら戻ることを約束する。と書いて俺にサインさせた。
その辺がしっかり者の岬らしいと思った。



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