海賊と鬼使い 20

ホオズキ  2010-04-05投稿
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「いててて…おい、皆大丈夫か?」
カイルの声に、フウリ達は顔を上げた。
「…カイル!?」
ロアが叫んだ。
大きなガラス玉に変化した暮雪が辺りを煌々と照らす下で、カイルが剣を構えて立っている。
足元には打ち落としたらしい黒い針のようなものが散らばっていたが、何本かはカイルの体に突き刺さっていた。
「ちょっと、大丈夫なの!!刺さってるわよ!?」
「あっ、ロア、それ抜いちゃダメだ!!」
フウリが慌ててロアを止める。
「ん〜?なんか変な感じがするな。血が出ないみたいだし、ウィル、これなんだ?」
お気楽そうにカイルが聞くので、フウリは拍子抜けした。もっと驚くだろ普通。
「これは、闇の者の強さに比例して数と大きさが変わるんだけど…。この大きさだと、百年位前に死んだ魂だな。」
「なんで抜いちゃいけないんだ?」
ギアンが散らばった針をいじりながら聞いた。
なんでこの海賊団はこんなに警戒心がないんだ…
「その針は刺さったままだと、徐々に体力をすいとるんだけど…」
「じゃあ、抜いた方がいいんじゃね?」
またも他人事のようにカイルが聞いた。
「いや、抜くと魂が抜けるから。」
フウリが事も無げに言った。
「まあ、元の世界に戻ったら消えるから大丈夫だって。」
「そうか。じゃ、いいや。」
軽すぎる。フウリが重い溜め息をついたその時。
「姫様!!」
暮雪の声でハッと我に帰ったフウリは小さな人影に気がついた。
「お前は!?」
フウリより先にカイルが叫んだ。
『…どうしても帰らないのね』
その少女はラウトがぶつかった金色の目を持つ少女だった。
『でも私だってこれだけは譲れないわ。』
少女は呟くと、パンパンと手を合わせた。
少女の後ろから黒い触手が伸びた。
みるみる内に枝分かれし先端が尖る。
『殺す!!』
「上等だ!!やってみやがれ!!」
カイルが剣を構える。
また面倒な事になってしまった、と思いながらもフウリは両手に剣を構えた。




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