「ダリルと彼でもいいとは思いますが、それだとバランスが取れないと判断したからです」
「バランス?」
「ダリルは少しせっかちな部分があり、もしも急変があった場合正確な判断が下せない可能性があります」
「悪かったな」
ダリルは不機嫌そうな顔になって、ぷいと横を向いた。
「まあまあ、人間、いい所もあれば悪い所もありますよ」
エナンは苦笑しながら、ダリルをなだめた。
「つまり、ここに来てまだ日が浅い彼にはダリルのそういった行為を止められない可能性がある…という訳ね?」
「はい」
「それなら仕方ない、か…」
リリアはやれやれといった表情でザックとミーナを見渡すと、
「そういう訳で、ミーナ、ザック、あなた達はカシアス山付近での調査に向かって下さい」
と、指示した。
「はーい、わかりました!」
ミーナは笑顔で承諾した。
「それは構わないんだけど…どうやって調査をするんですか?」
ザックは難しい顔で、リリアに尋ねた。
「基本的には近くの村の空き家を借りて農家の手伝いをしながら調査を行うんです。それが無理なら住み込みでも構いません」
「それは、怪しまれませんか?」
「その可能性はあります。ただ、今回はあくまで隠し場所を特定するだけなので、そうなる前に調査を終えられる可能性の方が高いでしょう」
「なるほど」
エナンの説明を聞いて、ザックは納得したように頷いた。
「また詳しい事はミーナに聞いて下さい。彼女は調査の経験が豊富ですから」
「どんどん聞いてよね!それと、これから宜しくね!」
ミーナは胸を叩きながら、ザックに握手を求めた。