――キィ…
「!」
水鶴は目を丸くした。
開けた扉の先に、己の部下、圭がじっと ひざまずいて待っていたからだ。
「寝入っていらしたのです…か?」
「柊…いつから?」
水鶴は圭の質問に質問を返した。
「…ずっとその状態で待っていたのか?」
「はい」
圭は即答する。
「何時間だ?私はどれくらい部屋にいた?」
「三時間ほどで…す」
「自分の部屋に帰っていればよかったものを」
「申し訳ありま…せん。しかし俺は水鶴様の手下…下僕です…から」
圭は 膝をついたまま答える。
「ご苦労なことだ…。いくぞ」
「どこ…へ?」
圭が問うと、水鶴は くるりと向き直った。
「…戦場以外にどこがある?」
そう言った水鶴の表情は、どこか悲しそうだった。
圭はその表情を見て切なくなった。胸のどこかが痛くなるのを感じる。
「……申し訳…ありま…せん…」
「謝るな、柊」
「…」
「行くぞ」
「承知しまし…た」
二人は戦場に赴いた。