alone 36=戦場以外に=

兼古 朝知  2010-04-06投稿
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――キィ…

「!」

水鶴は目を丸くした。

開けた扉の先に、己の部下、圭がじっと ひざまずいて待っていたからだ。

「寝入っていらしたのです…か?」

「柊…いつから?」

水鶴は圭の質問に質問を返した。

「…ずっとその状態で待っていたのか?」

「はい」

圭は即答する。

「何時間だ?私はどれくらい部屋にいた?」

「三時間ほどで…す」

「自分の部屋に帰っていればよかったものを」

「申し訳ありま…せん。しかし俺は水鶴様の手下…下僕です…から」

圭は 膝をついたまま答える。

「ご苦労なことだ…。いくぞ」

「どこ…へ?」

圭が問うと、水鶴は くるりと向き直った。

「…戦場以外にどこがある?」

そう言った水鶴の表情は、どこか悲しそうだった。
圭はその表情を見て切なくなった。胸のどこかが痛くなるのを感じる。

「……申し訳…ありま…せん…」

「謝るな、柊」

「…」

「行くぞ」

「承知しまし…た」

二人は戦場に赴いた。


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