ラーメンをすすりながら俺は、
さっきの話の続きをユウに尋ねる事にした。
『ユウ。さっきの話の続きだが‥‥。
イジメられてるって一体どんな事をされてるんだ!?』
ラーメンをすする顔を上げ、
向かい側に座る俺に視線を合わせると、
ユウは、静かにゆっくりと口を開いた。
『もういいだろ。
親父に言っても、今の状況が変わる訳じゃないし。』
そう言って、俺から視線を外したユウに、
俺は、更にイジメについて問いただした。
『なぁユウ。
さっき、父さんに初めて、イジメについて話してくれたじゃないか。
今後について考えようにも、話してくれなきゃ分からないだろう。』
父親として、もっともらしい言葉だ。
しかし、こんな陳腐な言葉で、
我が子のイジメを解決したいという、親としての熱意が、
ユウに伝わるであろうか。
つくづく口下手な自分が嫌になった。
『キモイんだってさ。』
ポツリと漏らした言葉を俺は聞き逃さなかった。
『キモイって!?』
『あぁ。俺のやる事なす事、全てキモイんだってさ。
始めは、一部の女子の陰口だけだったのに、
段々、エスカレートしてきて、嫌がらせを受ける様になって、
それが、クラス全体に広がってった。
最近は、クラスのリーダー格のヤツから金をせびられる様になって‥‥‥。』
『何だって!?
ユウ、そんな大事な事、どうしてもっと早く、父さんに言わなかったんだ!?』
『‥‥‥‥‥。』
思わず、声を荒げてしまった。
この場は、ユウがイジメについて、話してくれた事だけでも、
大きな進歩だというのに。
そもそも俺は、毎日仕事に追われていて、
家庭を顧みる余裕すらなかったではないか。
俺が、声を荒げてしまった事に対して、後悔の念にかられていると、
ユウは、再びゆっくりと口を開いた。
『始めは、ただの嫌がらせだけだったから。
そのうち収まるって思ってたから‥‥。』