チンゲンサイ。<35>

麻呂  2010-04-07投稿
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ラーメンをすすりながら俺は、


さっきの話の続きをユウに尋ねる事にした。



『ユウ。さっきの話の続きだが‥‥。

イジメられてるって一体どんな事をされてるんだ!?』



ラーメンをすする顔を上げ、


向かい側に座る俺に視線を合わせると、

ユウは、静かにゆっくりと口を開いた。


『もういいだろ。

親父に言っても、今の状況が変わる訳じゃないし。』



そう言って、俺から視線を外したユウに、


俺は、更にイジメについて問いただした。



『なぁユウ。

さっき、父さんに初めて、イジメについて話してくれたじゃないか。

今後について考えようにも、話してくれなきゃ分からないだろう。』



父親として、もっともらしい言葉だ。


しかし、こんな陳腐な言葉で、


我が子のイジメを解決したいという、親としての熱意が、


ユウに伝わるであろうか。


つくづく口下手な自分が嫌になった。





『キモイんだってさ。』



ポツリと漏らした言葉を俺は聞き逃さなかった。



『キモイって!?』


『あぁ。俺のやる事なす事、全てキモイんだってさ。

始めは、一部の女子の陰口だけだったのに、

段々、エスカレートしてきて、嫌がらせを受ける様になって、

それが、クラス全体に広がってった。

最近は、クラスのリーダー格のヤツから金をせびられる様になって‥‥‥。』



『何だって!?

ユウ、そんな大事な事、どうしてもっと早く、父さんに言わなかったんだ!?』


『‥‥‥‥‥。』





思わず、声を荒げてしまった。


この場は、ユウがイジメについて、話してくれた事だけでも、


大きな進歩だというのに。


そもそも俺は、毎日仕事に追われていて、


家庭を顧みる余裕すらなかったではないか。


俺が、声を荒げてしまった事に対して、後悔の念にかられていると、


ユウは、再びゆっくりと口を開いた。



『始めは、ただの嫌がらせだけだったから。

そのうち収まるって思ってたから‥‥。』



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