チンゲンサイ。<36>

麻呂  2010-04-07投稿
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その顔は、子供だった。


生意気な言葉を吐く様な子ではなかった、少し前の素直なユウの顔に戻っていた。


ユウの口から、全てを知ってしまった以上、


親として、このまま黙っては、おけない。


子供同士の問題に、下手に親がしゃしゃり出ると、かえって厄介な事になる。


しかし、ユウの場合、金銭を要求されるなど、


決して、放っておける問題ではない。


ユウのイジメを受けている姿と、


自分が会社を辞めるまでの間、


上司やパートのババァ共から受けた、


屈辱的な言動や行動が重なった。


事なかれ主義の教師らに訴えても、


簡単に解決出来る問題ではないと思ったが、


やはり、これは担任の教師には報告するべきであろう。



『ユウ。

よく父さんに話してくれたな。

父さん、この事について、考えがあるから、

家で母さんに傷の手当てをしてもらったら、

今日は早く寝なさい。

明日は学校を休め。
学校へは、父さんから連絡しておくから。』



コクンとうなずく我が子の顔は、


頼りない父親の言葉にも、


少し、安心したかの様に見えた。


具体的な解決策がひらめいた訳でもないのに、


俺の心のわだかまりは、


なぜか今夜、


突然消える事となったのだった。



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