「そりゃあ悪夢のわりには気になる点が残る夢だなぁ…」
晶は後ろに反り、伸びをしながら言った。
「でしょ?あの子って、やっぱり…」
「水鶴は確かに小さい頃 髪はショートだったぜ」
「じゃああの夢は…!!」
夕が青ざめると、晶は慌てて訂正する。
「え、えっと、正夢にはならないと思うぜ!?ほ、ホラ、ガキの頃の水鶴が現れるわけないだろ!?」
「でも…もしかすると何かの暗示かも…」
「気にすんなって!!」
「…うん」
晶の言葉に頷きながらも、夕の頭の中は不安でいっぱいだった。
空は薄暗く、強い風が吹いていた。日の沈む西の空は、雨雲に覆われていた。
「ねぇ晶」
「んー?」
「明日は雨かもね」
「そうかもなー」
「晶」
「んー?」
「…ううん、何でもないよ」
「んだよ、変なの」
「いいじゃん、別に」
晶と夕は笑った。
そして、翌日。
水鶴との約束の日。
この日は、
雨が降っていた。
先が見えなくなるほど、
雨が、降っていた。