ミットに向かって

沢村エイジ  2010-04-09投稿
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太陽が照りつけるジリジリとした感覚。鋭い打球音。グラウンドのあちこちで砂埃が舞っている。

ここは昂南高校のグラウンド。
そして、今ライトでノックを受けている少年は飛んできた白球を補給すると、決して綺麗とは言えないフォームで、ホームへ矢のような球を投げた。

白球は綺麗な弧を描きキャッチャーミットにおさまる。
彼は神山 光(カミヤマ ヒカル)。中学から野球を始め、昂南高校に来てからも野球を続けている。

テレビで見たピッチャーに憧れたのが野球を始めた切っ掛けなのだが、野球経験が無いことから外野手になってしまった。

ピッチャーがやりたくて仕方が無かったが、監督に申し立てが出来なかった。
いつかピッチャーになるために、肩や背中の筋トレを割りとまめにしていた。

そのおかげか今では野手の中でも一番肩が強い。
しかし皮肉な事に、光が強肩であるという事が外野手を抜けられない原因でもある。

高校になっても、中学でライトのレギュラーだったからという理由で外野手になってしまった。

明日は練習試合だ。今日は試合を意識して軽めの練習で終わるだろう。ノック中に光はそんな事を思いながら密かに時計を見た。
光は明日の試合で起こる事を知るはずもなかった。

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