――ザァアアァアァァ…
いつもの招集。
いつもの掛け声。
いつもの出陣。
それらがこれで最後かもしれない…。
「…晶!」
「何だよ?」
夕は晶を呼び止めた。
(泣いてはいけない、泣いてはいけない…!!)
夕の理性は そう言っていたが、夕は堪えきれずに泣いた。
「死なないで…!!」
「…わかんねーよ、そんなん」
困ったように晶は首をひねって言う。
「駄目よ、死なないで…だってあたし、独りになりたくない…!!」
夕は晶にすがりつくようにして言う。
「…そうそう死なねーよ、俺は」
「うん…ッ」
「ありがとな、夕」
「何が…?」
「心配してくれて」
「…当たり前じゃない」
ムスッと頬を膨らませて夕は言った。涙に濡れた目が、晶を睨む。
「可愛くねーのな」
晶は笑って夕を撫でた。
「うるさいなぁ…!!…ッうぅ…!!」
夕は また俯いて泣き出した。
「さっさと行って…さっさと帰って来てよ…!!」
「おう、任しとけ!」
晶は いつも通りの明るい笑顔を見せ、大雨の中を駆けていった。