alone 43=死なないで=

兼古 朝知  2010-04-10投稿
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――ザァアアァアァァ…

いつもの招集。
いつもの掛け声。
いつもの出陣。
それらがこれで最後かもしれない…。

「…晶!」

「何だよ?」

夕は晶を呼び止めた。

(泣いてはいけない、泣いてはいけない…!!)

夕の理性は そう言っていたが、夕は堪えきれずに泣いた。

「死なないで…!!」

「…わかんねーよ、そんなん」

困ったように晶は首をひねって言う。

「駄目よ、死なないで…だってあたし、独りになりたくない…!!」

夕は晶にすがりつくようにして言う。

「…そうそう死なねーよ、俺は」

「うん…ッ」

「ありがとな、夕」

「何が…?」

「心配してくれて」

「…当たり前じゃない」

ムスッと頬を膨らませて夕は言った。涙に濡れた目が、晶を睨む。

「可愛くねーのな」

晶は笑って夕を撫でた。

「うるさいなぁ…!!…ッうぅ…!!」

夕は また俯いて泣き出した。

「さっさと行って…さっさと帰って来てよ…!!」

「おう、任しとけ!」

晶は いつも通りの明るい笑顔を見せ、大雨の中を駆けていった。




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