その日の夜、僕は考えていた。
「タナーおじさんは何してたんだろう…」
あのコートの血は返り血の付き方だ。誰かを殺したんだろうか…。
考えただけで背筋がひやりとした。
「考えないようにしよう…タナーおじさんはいい人だもん。人殺しのはずがないよね」
僕は考えるのを止め、ふかふかの布団に潜り込んだ。
こうしていられるのも、全てタナーおじさんのおかげなのだ。
朝を迎え、僕はいつも通り日課の小屋掃除や餌付け、食事の準備などをこなした。
その最中に気付いたのだが、サーカスの大人達はまだ帰って来てはいなかった。
テントの中では、イーディらの子供達が寝ている。
ふと、また遊びたいと思ったが、タナーおじさんが帰ってきた今、もう無理だろう。
「…昨日は、楽しかったな」