僕とご主人様の物語9

矢口 沙緒  2010-04-11投稿
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「うっそ〜!
まさか忘れたんじゃないでしょうね。
私よ私、桃香よ!
西野桃香!」
にしの…ももか…?
誰だったかなぁ…
確かに覚えはあるけど、思い出せない。
「なんかヒントはないんですか?」
「ヒント?
クイズ番組じゃないし」
「でも、なにか思い出すきっかけみたいな…」
「じゃあね、この先にバス停があるでしょ。
そう、あの屋根の付いたベンチのあるバス停。
あのベンチで私と彼は初めて出会ったの。
雨の日にね。
思い出のベンチよ。
あのバス停まで行って思い出せなかったら、もう私、キッパリ諦めるわ」
「この先のバス停ですよね」
そう言ってその方向を指差し、彼女を振り返ったら、やっぱり消えていた。
二人に言われた事を考えながら、とぼとぼとバス停に向かった。
名前に聞き覚えはある。
顔はハッキリしない。
貝殻の指輪。
『ポエムっち』で待つ彼女。
そしてプロポーズに行こうとしている彼。
自分が二人の運命を決める。
しかも、なぜか二人とも半袖。
バス停に到着し、ベンチに座ってみる。
「そしてここが、二人が初めて出会った、思い出のベンチか…」
思い出の…
あれ?
…あれ、あれ?
ちょっと待てよ?
…あれ?もしかして…
そ、そうだ!間違いない!
すっかり忘れてた!
彼は急ぎ足で実家に向かった。

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