瑠海とショール?

萩原実衣  2010-04-12投稿
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(本島に戻っちゃうんだ…。)
じっちゃんは、黙って聞いていた。
「お父さん…。私がここにいても何だか…歯車が合わないっていうか、私の居場所じゃないんだなって…。」

「清海…お前は、この瑠海の母親じゃぁ。瑠海を守る義務がある。それだけは、決して忘れるな。」
「瑠海、いつまでも困った時は訪ねてきてね」

「うっうん…」

その日、学校から帰って来ると、あの人は、いなかった。

寂しかった。

そして、僕とじっちゃんは、いつもの生活に戻った。

「ピ〜!ショール!」

「クウィ!」

「ショール!君のお気に入りのあの遊び場に連れて行って」

僕は、ショールの背中に乗ってお腹をさするとショールは、あの洞窟の前まで連れて行ってくれた。

そして、僕は、思いっきり深呼吸をした。
ショールは、一気に海の中の洞窟を進んだ。

「やっぱりキレイな所だね。」

僕は、陸に上がってショールが…遊んでいるのを見ていた。

その時、別のイルカが来たんだ。
きっと、ショールの友達の中の一頭なんだ。

光が差し込み海面が揺れ様々な色を作り出す中で游ぐショールと仲間の姿は、絵のようでとてもキレイだった。

「ショール楽しそうだね」

僕と遊んでいる時とは、違った。

じっちゃんが言っていた事を思い出した…。

(イルカには、イルカの世界がある。瑠海お前は、ショールを独りぼっちにさせておくのか…。)
僕もショールもかあちゃんと一緒にいられない。でも、僕にはじっちゃんがいる。

ショールには…。

いない。

帰ってから…僕は考えた。たくさん考えた。


朝になって、じっちゃんに話をした。

「じっちゃん…ショールお友達が出来たみたいなんだ。僕、ショールと離れたくないんだけど…。ショールは、仲間と一緒にいるほうが幸せなんだよね?」

「あぁ…」

「僕、ショールにちゃんとさよなら言えるかな?ショール僕の事忘れちゃうかなぁ?」

「ショールは、頭の良いイルカだ。瑠海の事を忘れたりせんよ」

僕は、たくさん泣いた。じっちゃんは、ずっと頭を撫でていてくれたんだ。

次の日曜日に僕は、ショールとお別れをする事にしたんだ。

僕がショールに最後に出来るプレゼントなんだ。
日曜日が来た。

空は清みきった青空で海の中までよく見えた。

僕は、朝からショールとたくさんたくさん遊んだ。

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