北海道に行く準備のためか、あいつは学校を休むようになった。本当にたまにしか来なくなった。
別にいいや。
寂しくなんかない。
やっぱりこれは恋じゃないって!
ほら、
その雑誌のモデルとか
あのレジの店員さんとか
今すれ違った男の人とか
そっちの方がかっこいいじゃん。
それに、普段は周りに頼りにされてるけど、私だって本当はそんなに強くなくて甘えたいの!だから、彼氏はもっと体格良くて、頼れて、強い人がいいの!
でも、考えてみたら
唯一私が弱音吐けるのって、あいつしかおらんやんか。
根拠のない“大丈夫”って言葉が、あいつの笑顔が、一番の励ましやんか。
『結構頼りになるやん』
ああ、そっか。
あいつだってそうやったんや。
うち“だけ”が甘えられる存在やったんや。
あの時のあいつの顔が浮かんで、胸が痛い。
うちってやっぱり最悪。
泣きそうになった帰り道。
そういえば、上向けば涙は止まるって、あいつ言ってたっけ?
そう思って見上げた空。
あんまり綺麗で余計胸が締め付けられた。
嘘つき。
余計に涙が止まらへんやんか。
綺麗な星空が滲んだ。