僕は、何時間遊んだだろう。
ショールもちょっぴり疲れてたみたいだ。
「ショール!もう、僕とは、遊べなくなるんだ。ショールは、仲間と一緒にお行き。」
僕は、ショールの背中に乗ると仲間のイルカがいる沖まで連れて行ってもらった。
じっちゃんが後ろから船で来てくれたんだ。
「君たちがショールのお友達だね」
僕は、ショールにキスをした。
「ショール…たくさんありがとう。元気に暮らすんだょ。たまに遠くからこの島をみつけてね…」
僕は、じっちゃんの船に移った。
ショールは、何かを察したのか中々船から離れない。
じっちゃんが船を進ませると一緒についてきちゃうんだ。
「ショール!行くんだ」
僕は、ポールで海面を叩きショールが仲間の所に行くように何度も何度も海面を叩いた。
「クウィ!クウィ!」
ショールは、その場をクルクル回りながら鳴いた。
しばらくして、僕とじっちゃんは、静かに待っていた。
ショールは、ゆっくり…仲間の所に身体を向けて泳ぎだした。
「本当…さよならなんだね…」
ショールと仲間のイルカの姿は少しずつ小さくなっていった。
じっちゃんは、姿が見えなくなると船のエンジンをかけた。
僕は、ずっと下を向いていた。
「瑠海!」
じっちゃんが大きな声で呼んだ。
船の一番前に行くと…
ショールが物凄いスピードでこっちに泳いできた。
時々、物凄いジャンプをしていた。
ショールは、思いっきり深く潜り、一気に浮上すると僕の上を通っていった。
ショールは、そのまま仲間の所に去っていった。
僕は、一番綺麗な夕陽とショールのシルエットを忘れない。
「さとばばちゃん!おはよう!じっちゃんが作った豆腐とはい、おから」
「瑠海お茶飲んでいきな」
「お前は、将来どうするんだ?」
「まだ、わからないや…。でも、この島で暮らしたい。
ショールがいつか、たくさんの友達を連れて戻って来るかも知れないからね」
「そうか。」
それから…2年が経って僕は、中学生になった。
僕は、船に乗っていた。
(ショール…元気かなぁ?)
そんな事をふと思った。
「クウィ!」
ショールだ!!
ショールは、たくさんの仲間と一緒に泳いでいた。
ショールは、大きくなっていた。
僕とショールは、見えないたくさんの愛情で繋がっているんだ。
きっと、これからも、形を変えながら続いて行くんだ。ずっと。