誰もが羨むほどのかわいさ。
私を“かわいい”って思わない人なんていない。
でも“みんな”は違った。
――高2 春
聖「秋奈、お前今、帰宅部やんな?」
中学で同じ吹奏楽部だった元部長の聖二。
秋「そうやで、部長」
聖「もう部長って言うなってば!とにかく!!じゃあさ、お前バンドに入ってくれへんか?」
秋「バンドー?」
聖二に連れていかれたのは音楽室。そこにいたのは6人の生徒。
聖「連れてきたで。同じ中学の秋奈。サックスや」
私に集まる6人の視線。
秋「秋奈でーす。サックス吹けます。よろしくお願いします★」
誰もがかわいいって私を特別扱いする。いつだってそうやった。
なのに
翼「おお、秋奈か。よろしくな!サックスやったら美弥と一緒やな。」
美「そうやな。うちはテナーやけど」
波「秋奈は何サックスー?」
秋「あ…アルトやねん」
拓「アルトかぁ!って俺はよく分からんけど。」
猛「あ!慶太!!寝るな!」
慶「…ん?」
美「秋奈もこっちに座りいや」
秋「え…ああ、うん」
誰一人私のかわいさに触れない。おまけに私を前にして寝てる男まで。
こんな扱い、初めてや!!!!