「み つる…?」
晶は驚き、声をあまり出せないでいた。
「お前ぇえぇぇえッ!!」
水鶴は あらん限りの大声を出し、刀を振りかざし、圭の腕を斬った兵を刺し殺した。
「水鶴…様!?」
圭が驚いた顔で水鶴を見る。水鶴はキッと圭の方を向いた。
「お前は馬鹿か!!腕を斬り落とされてそのままにする奴があるか!!死ぬ気か柊!!」
水鶴が叱り飛ばすようにして言うと、圭は少し視線を落とした。
「…!!…俺…は…」
「いい、喋るな!」
水鶴は黒いインナーの右袖を破き、圭の斬られた 右腕の少し上をきつく結び、止血した。
その場にいた誰もが、その光景を固まって見ていた。
「…右腕まで鎌にする気か、柊…?」
水鶴が目を伏せて問う。
「…あなた様が望むなら…そうしましょ…う」
「望むものか、馬鹿」
水鶴は圭の目をしっかりと見る。
圭も懸命に視線を返そうとするが…
圭は、己の視界が段々歪んできているのに気がついた。
(あぁ、そう…か…。俺は…俺は…)
柊 圭。17歳。中村水鶴の腹心中の腹心。
彼は……
(…俺は恐らく、ここで死ぬのだ…な)
――自分の早すぎる死を悟っていた。