「そんなにあいつのことで悩むのは好きやからでしょ?」
友達がまっすぐ私の目を見て言う。
「好きじゃなかったら、そんなにあいつのこと考えないってば。」
人が弱いと急に強くなるんやな。
昨日は人生を嘆いてたくせに。
「ゆきが、あいつが遠くに行って、“バイバイ”して、それで簡単に諦められるならいいけど、諦められないから、何かしなきゃって思うから、胸が痛いんでしょ?」
そうだよ。
このまま“バイバイ”なんて、やっぱり笑って言えない。
「こうたは…いつ行っちゃうん…?」
そんなこともうちは知らない
「さあね。自分で聞いておいで。こうたもゆきのこと、待ってるよ。あいつがあんたのこと好きなんてこと、周りから見たらバレバレやねんから。」
でも、“好きじゃない”なんて言っといて、今さら告白もできないよ。
こうたもうちのこと、諦めちゃったんじゃないかな。
やっぱりあの時の顔が浮かんで、痛い。
痛い痛い痛い。
あの言葉、消せたらいいのに。
いつもは強気なくせに、こんなに弱気になる私は、ほんまに情けない。
でも、もう時間がない。
迷ってたら、あいつは行ってしまう。