クリスタルクラッシュ3―?

いっと  2010-04-16投稿
閲覧数[407] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「はあ…疲れた…」
外に出てエナンと合流したザックは、一つ小さくため息を吐いた。
「緊張しましたか?」
「そりゃそうですよ。事前に話し合って説明する内容を決めておいたのはいいですけど、嘘だとバレたら元も子もありませんし」
「いや、多分あれはバレてますよ」
エナンは苦笑した。
「へ?」
ザックはぽかんとした表情で、エナンに目を向けた。
「あのワイズって人、ただ者じゃないです。私を見る目は正にハンターでしたからね」
「え、そ、そんな…」
「キョロキョロとしないで下さい。尾行されてはいませんから」
エナンは慌てて周りを見回し始めたザックを注意した。
「よ、良かった…」
ザックは安堵したような顔で、大きく息を吐いた。
その時、彼は大きなローブで体全体を包み込み顔をフードで覆った人物とすれ違った。
「…?」
彼はふと、その人物のある物に目が留まって慌てて後ろを振り返った。
ローブの裾から剣の鞘がはみ出している。
その形とデザインを見て、ザックは目を大きく見開いた。
「あの鞘は…」
記憶の中にある女性が持っていた物と同じデザイン。
彼は思わず飛び出して呼び止めようとしたが、その人物は既に人ごみに紛れて姿を消していた。
「どうしたんですか?」
エナンは怪訝そうな表情で、ザックに声を掛けた。
「…いえ、何でもありません」
ザックは頭を掻きながら、首を横に振った。
―人違い、だよな。
そう自分に言い聞かせて、彼は寂しそうに笑った。

ワイズは全身をローブで覆った人物が店に入ってきたのを見て、一瞬にして緊張した面持ちに変わると、カウンターの下にある剣の鞘に手を掛けた。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 いっと 」さんの小説

もっと見る

ファンタジーの新着小説

もっと見る

[PR]
翌朝ぷるるんっ!!
★オールインワンゲルH★


▲ページトップ