俺は怜の言葉に黙って頷いた。
「やっぱね。俺も変な奴だと思った。雰囲気からして変わってるからね。」
「そうか?ただの不良気取りに見えたがな。」
この中で霧島だけは何も感じなかったみたいだが、俺と怜は同じものを感じとったらしい。
「だって普通の人はヒトラーにあんなに詳しくないし…そうだな…歴史オタクならわからなくもないけど。」
怜の言葉に霧島が笑う。俺もそれに合わせて笑っておいた。こんな空気では俺がヒトラーについて毎日(それは言い過ぎだが)のように調べていることなんて口が裂けても言えない…
(でも、あいつもヒトラーについてよく調べるって言ってたな…。俺、あいつと同レベルか…)
そう思うと、別に囃子のことを知ってるわけでもなく、嫌いなわけでもないがなんか憂鬱な気分になった。
その後俺達は電車に乗り、そして別れた。