七日七晩の慟哭7

伯修佳  2006-08-24投稿
閲覧数[340] 良い投票[0] 悪い投票[0]

年齢のみならず菜那と非常に良く似たその娘は、母親じみた口調で彼女を叱った。
「ちょうど良かった、有依(ゆえ)!警察呼んで。こいつが!」
「あら…」
有依と呼ばれた娘は、場違いな程落ち着いて男を凝視した。
「あらじゃないってば。こいつ変質者よ、へ・ん・し・つ・し・ゃ」
「何言ってんの、菜那。お客さまに失礼よ」
「ハアァ!?」
有依は男に微笑みかける。
「瀬沢さんですよね?どうぞお入り下さい」
男は安堵した様に頷く。唖然として見守る菜那とすれ違い様、冷たい目で彼女に一瞥をくれてから家の中に入って行った。
「ほら、菜那も家入んなさい。おじいさん、お騒がせしてすみません。あの人遠縁の親戚で、ウチでしばらく預かる事になったんですよ」
老人はようやく鋏を下ろした。
「なあんだ、そうなのかい。儂ゃまたてっきり菜那ちゃん襲われてるのかと思っちまったよ」
「本当申し訳ありません、この子なんせ物憶えが悪くて」
「そうか、親戚か。何でもないならいいんだ、最近この辺り物騒だからな」
「ちょっと物憶えって。私そんな、居候の話なんて聞いてない」
有依は妹を睨んだ。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 伯修佳 」さんの小説

もっと見る

ノンジャンルの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ