「柊が死亡しました」
「そうか」
水鶴の報告に、理一は顔色ひとつ変えずに返答した。
「…父上」
「何だ?」
「本当にこの戦い、勝つつもりは おありですか」
水鶴は苦しそうに言う。
「どうして…人が死んでも平然としてられるのですか?何故死人のことを一切気にかけないのですか…?」
「…質問が多いな」
理一は水鶴を嘲笑するかのようにして笑う。
「答えてあげよう。
私は この戦いで勝てると一度も思った事がない。
よって、手下が死んだところで何も思わない」
「!?」
水鶴は驚き、信じられないと言いたげな顔つきをした。
「じゃあ何故…ッ!?」
「柊の息子か?」
「それだけではありません!!今まで死んでいった自神の兵たちは、何の為に戦ってきたと言うのですか!?」
水鶴は思わず大声を出した。近くにいた自神の兵がビクリと体を強ばらせる。
「何の為とは愚問だな。私の為だろう?」
玉座の肘置きに頬杖をついて、理一は答えた。
「…私はね、水鶴」
理一は、語りだした。