チンゲンサイ。<39>

麻呂  2010-04-21投稿
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* * * * * *

翌朝――


あまりよく眠れなかったにしては目覚めは悪くなかった。


むしろ、頭がいつもよりスッキリしている。


時計を見れば、午前5時半。


家族4人揃って朝食を食べる習慣など、全く無かった我が家だが、


ユキエも今朝は緊張して早くに目覚めたのか、


キッチンから、カチャカチャと食器の音が聞こえてくる。


リョウの弁当でも作っているのだろう。

今日は、ユウを学校を休ませるつもりではいるが、


リョウもまだ寝ていると思われ、


リビングには、2人共まだ下りてはいないようだ。



『おはよう。

ユキエ、今朝は随分早いじゃないか。』


『えぇ。なんか目がさえちゃって。』



ユキエがパート先に電話を掛け、上司から、出勤時間が少し遅れる事についての許可を得たら、


いざ出発だ。


夕べは、何かいい案でも浮かんだかのように、


ユキエに、付き合ってもらいたい場所があるなどと言った訳だが、


具体的な案など、全く考えてはいなかった。


しかし、担任に会って、ユウへのイジメの事実を認めさせ、

今後、イジメの主犯格の行動を監視してもらわなければと考えたのだ。


保護者2人揃った方が、真摯に受け止めてくれるだろうというのは、


俺の傲慢かも知れないが、


何としても、我が子を今の苦しみから解放してやりたいと思うのが、


親心というものだろう。



『あなた。

売り場のチーフリーダーが、遅れて出勤する事を了解してくれたわ。』


『よし!!

俺が運転するから、ユキエは後ろに乗ってくれ!!』



車は、仕事を辞めた時に売ってしまった。


ユキエ愛用のママチャリは昨日、複合商業施設の屋外駐車場の一角へ置いてきた。


俺は、粗大ゴミに出そうと思って、ずっと庭の隅に置きっぱなしにしていた、


かろうじて乗る事の出来る、サビ臭いポンコツのチャリの後ろにユキエを乗せ、

ユウの通う中学校へと急いだ。



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