罪ブカキモノ?

白山こっこ  2006-08-24投稿
閲覧数[866] 良い投票[0] 悪い投票[0]

振り向いた彼女は私の存在に気付いた…ていうよりも既に気付いていたかの様にニッコリと微笑んだ。
「こんばんは…貴女も一人?」
見りゃ分かるじゃん。
「えぇ、そうよ」
とりあえずもっともらしく返事をしておく。
「やっぱり門限関係だったりする?」
「……」
バレてるし…
とりあえず頷いてはみたけどね。そうすると、笑った顔をもっと口の端を吊り上げて喋った。
「奇遇ね、私もだよ!なんならさ、今暇だし一緒に遊びに行かない?」
何、この人?いきなり。まさか逆ナンのつもりじゃあるまいし…
まあ、いっか。どうせ暇だし、同年代だから門限というのも嘘じゃなさそう。誘いに乗ってやろう。
「いいよ。私も暇だったの。」
すると彼女は滑り台からひらりと飛び下りてこちらに向かって来た。
「うれしい、ありがとう。私はナナカというの。よろしく」
「私は美佳。こちらこそよろしく」
ミカという名前はちょっと気に入ってる。それを聞き、ナナカは私の手を握って歩きだす。
「なら美佳、さっそく行こうよ!」
その握るちからが強いのに少し違和感を覚えたけど、握力強い人なんだな、としか思わない。
私達は夜にも関わらずとにかく遊びまくった。ゲーセンはもちろん、買い物とかもした。それは利用されるだけでちっとも楽しくないものではなく心底楽しいと感じられるもので、私が初めて知った感覚。
そして楽しい時間はあっという間に過ぎ、二人で家に帰った。帰り際にナナカは自分の家の住所を教えてくれたので私も教えた。
玄関のドアは開いていたけど親はもう寝ていて、ご飯もなかった。まあナナカと一緒に食べたけどね…。
翌日、放課後に部活がない私は教えられた住所に向かった。なんでもナナカは中卒らしい。当たり前の様に迎え入れてくれた。
「きれいにしたの、貴女が来る気がしたからね…」
本当にきれいだった。外からだけでなく、内からでも住んでる人の清楚さが伺える。なかでも私の目を引いたのは一枚の鏡。きれいだな、と思って縁を触ろうとすると
「やめて!」
止められた。
「それ、祖父の大事にしていたアンティークなの。私でも触ったら怒られるくらい」
彼女は肩を竦めてみせる。なるほどね、宝物か…。きれいな訳だ。
「ごめんなさい…
ところで、聞いてほしい話が有るんだけど」
「何?」
私は気を許せたナナカに、学校での扱いを相談した。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 白山こっこ 」さんの小説

もっと見る

ホラーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ