alone 63=嫌われている=

兼古 朝知  2010-04-23投稿
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水鶴が本城の中へ入っていく。それに続き、晶も入っていった。

「ひッ…」

本城の入口付近にいた30代くらいであろう、恐らくは非戦闘員の女が小さな悲鳴をあげる。

「…おい」

「は、はいッ!?何でしょうか、水鶴様!!」

水鶴が声をかけると、女は過剰な反応を見せる。
その光景を、晶は首をひねって不審そうに見ていた。

「…敬語を使うな。様を付けるな。敬うな…」

「え…?それはどういう意味で…!?」

「自神を裏切るからだ」

水鶴の言葉の意味がうまく飲み込めないのか、女は ただ黙っている。

「陣内にいる全ての人間に伝えてはくれないか…?教祖もここまでだ、今日から自由になると…」

「はッ…はい!」

女は ぱぁっと顔を輝かせて、嬉しそうに走り去っていった。

「フフ…晶。自神宗内でも、私と教祖は嫌われているものだろう?」

水鶴は微笑して晶に問いかけた。
晶は、頭の後ろをガリガリと掻いて答える。

「嫌われてるっつーか、怖がられてんな」

「似たようなものだ」

「ったく…。似てねーっつの」

晶は呆れ気味で言った。

「さぁ行くか。父上のところへ」

「おうよッ!」

水鶴が教祖のいるであろう方向に目を向けて言うと、晶はニカッと笑って返事をした。


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