航宙機動部隊第四章・17

まっかつ改  2010-04-23投稿
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ルクレツィアは肩のはだけた紺のドレスを着ていた。
『で?次はどんな出し物を見せてくれるの?』
彼女は向かいのベッドにやはり腰掛けるハミルトン=ゾラに軽く手を振ってから、
『そうそう、あの生意気な共和国の夷狄(野蛮人)退治はいつやるの?私ずっと楽しみにしているんだけど』
柳眉をしかめながらその小さな顔をフーバー=エンジェルミの頬に思い切り擦り寄せた。
『ふん、あいつか』
甘える様な打算を含む様な少女の仕草に触発されて、その頼りない腰に片手を回してはいやらしく撫で回し始めながら、太子党の総帥は一しきり思案した。
血筋に劣り、家柄は低く、出自にしてからがこの自分の足下にも及ばない一人の少年。
だが、権門勢家の極みを誇るこの自分に楯突き、そのやり方に釘刺し、あまつさえ恐れる所か己の正義の赴くままに罪し裁こうとして来た黒髪の少年。
その過ちは万死に価する。
万死所か一死毎にこの世で思い付く限りの手段で凌辱・拷問まみれにして殺したとしても気が済むものか!
怒りと憎しみと肉欲にアンビバレンツな興奮を来したフーバー=エンジェルミは、だが彼にしては驚くべき事に冷静さを保った声で、
『ああ、見せてやるさルクレツィア=カルノラ。最高のやつをな』
そう言うとそのまま少女をベッドに押し倒そうとしたが、パンパンパンと手を叩く大きな音がそれに制止をかけた。
獣欲と敵意に煌めく眼差しを向けたフーバー=エンジェルミの先には、ベッドから立ち上がったハミルトン=ゾラがいた。
『邪魔だ家人。出てくか見物するかしてろ』
『おや、良いのかい公爵公子?』
ハミルトンは短い前髪を勢い良く掻き上げて、
『夜の楽しみは《例のヤツ》で決まり、なんだろ?』
再び彼が手を叩くと、ドアが開いてぞろぞろと列をなして小さな人影が入って来ては公爵公子とルクレツィアの座るベッドの前に並んだ。
全員が十歳に満たない少年少女達だった。
しかも一人残らず裸のままであり皆一様に怯えた表情をして彼等の《主人》を見上げている。
太子党によって連れ去られて来たパレオスの子供達だった。
その有り様を舐める様に観賞してからフーバー=エンジェルミは暗黒色の笑みを浮かべた。
ベッドの外へ突き飛ばされたルクレツィアが抗議の叫びを上げる中―\r
太子党の総帥は彼等の中から気に入った男女一人ずつの手を取った。

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