私は、慧から視線を外した。
今の今まで、凛としていたい気持ちがぶっ飛んだ。
どうやら、同伴らしい。しばらくして、私は、化粧室に向かった。
化粧室から出ると二人の姿はなかった。
もう一杯呑んだら帰ろう…。
「お客様…。先ほどいた男性のお客様からです」
一枚のメモをもらった。
そこには、『電話して…。』という言葉と携帯の番号が殴り書きで書いてあった。
なんだ??
この間先に帰ったのを怒っているのだろうか…。
店を出た後、慧に電話をした。ドキドキしているのがわかった。
「生来さん??ごめん。後でかけなおします」
なんなんだ!!まぁ、仕事中か。
家に着くと携帯がなった。
「生来さん?さっきは、ごめん。この間のお礼が言いたくて…。っていうか、なんで先に帰ったの?」
「疲れていたみたいだからさ」
「生来さん…。これからあのカフェ来れる?」
戸惑った…。
「もう…家に着いたから」
「逢いたいんだ」
慧のいつもと違う荒げた声に私は、戸惑いを打ち消した。
ほどよくして…。
チャイムがなった。
慧が来た。
私は、慧の気持ちを試した。
本当に来た。
「綺麗な部屋ですね」
「なんか呑む??」
「紅茶 頂けたらうれしいんです。」
いつもの慧だった。
「どうしたの?」
「…。」
慧は、黙っていた。
私は、待った。
紅茶を入れてソファーに座ると…慧私を抱きしめた…。
「生来さんに逢いたくて…。でも、生来さんお客で、僕は…言ってはいけない言葉だった。
でも…。逢いたくて逢いたくて…」
慧は、更に強く私を抱きしめた。
私は、このまま時間が止まって欲しいと思った。
「慧…私、素直になっていいのかな?」
慧は、熱くキスをしてくれた。
私達は、時間を忘れて愛した。
翌朝、慧は、手紙を残して帰っていた。
そこには、彼の心の葛藤とやさしさが詰まっていた。
もう…壁を感じてる自分が恥ずかしかった。
慧は、クラブをやめた。私と慧は、毎日愛しあった。
夢の時間は…。
時間制限の二人だった。
慧の夢のため…。
1ヶ月後彼は、イタリアに旅立った。
でも…。私は、慧のおかげで心の葛藤や感情を取り戻した。
私の夢のあと…彼の夢の始まりになった。
end