ノックさんが伊島さんのところに言って話し出す。
「あの、いくらなんでも一般人はまずいんじゃないですか?」
普通に聞こえているんだけどな。
「春くんも君たちとそう変わらないよ。彼も歯車がずれてしまっているんだ。」
「俺は構いませんけど、他のやつらがどう思うかは知りませんよ。」
「大丈夫さ。それに、今は何もできないだけかもしれないからね。」
「それって…」
「まぁいいだろう?そのことは。それじゃ春くん、少しずつ運んでくるように。」
「あ、はい。」
そう言うと、伊島さんは自分の部屋らしきところへと入っていった。
「大丈夫かなぁ。マジで。」ノックさんが心配そうに言った。
「まぁいいか。春だっけ。荷物運ぶの手伝うぜ。」
「いや、家まで結構あるんで悪いですよ。雨も降ってますし。」
「いいって。どうせ今日はヒマだしな。大学もねえし。俺の車に荷物乗せな。」
「すいません。」
「いいって。」
ノックさんは笑顔だ。
この人は俺の家に来てどう思うだろう。
ノックさんといっしょにワンダを出て、車へと向かった。
雨はただ、僕を追い立てるように雨脚を速める。