alone 65=人質=

兼古 朝知  2010-04-24投稿
閲覧数[356] 良い投票[0] 悪い投票[0]



「な、な、何で…!?
さっき話した自神の兵まで攻撃体勢なんだよ!?」

晶の疑問。
何故、先程 水鶴にもう戦わなくてよいと言われて喜んでいた兵たちまでもが、自分達を囲っているのか?

「……父上。人質をお取りになったでしょう?」

水鶴が、キッと鋭い目線を理一に送り、言う。

「ふふ…。いい読みだよ、水鶴」

剣や銃を構える兵の後ろには…

兵の親兄弟、子供までもが人質として捕らえられ、心臓の辺りに何かしらの機械が取りつけられていた。

「…その人たちに何しやがった、自神の教祖!!」

晶が今にも理一に襲いかかりそうな目で、問いかけた。

「あぁ、呼び方は中村で構わないよ。
…なに、そこまで心配することはない。
私の手元のスイッチを押せば、人質たちの胸の爆弾が爆発するだけだよ」

言いながら、理一は手元のスイッチらしきものをプラプラと見せつける。

「…ッ!」

水鶴が刀を抜こうとしたとき、晶がそれを制止した。

「晶、何故!?」

「落ち着け水鶴!ヘタな真似したら、中村が爆発させかねねぇ…」

自分自身、抑えきれない怒りを心に宿しながらも、晶は冷静に言った。

「そう。そこの人質たちの命が惜しいなら…おとなしく殺されればいい話だろう?水鶴、少年」

ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら、理一が言った。

「お願い致します…水鶴様。我々に殺されてください…」

ポツリと、兵の一人が言った。

「でなければ私の女房が…爆発してしまう…」

もう一人、呟く。

「俺の子供もッ…!!」

「私の弟だって…!!」

初めは小さかった呟きが、段々と大きくなっていく。

「頼む、代わりに死んでください!」

「人数の差を考えれば一目瞭然でしょう!?」

「あなたたち二人と、家族全員…!!どっちが優先かわかりますよね…!?」

「死んでくれ、お願いだ!」

「黙って殺されてくれれば それでいいから!!」

「大体アンタ達が来なけりゃ、こんな事には ならなかったんだ!」

「アンタらのせいじゃないか!!」

「死ね!!殺してやる!」

兵たちの吐く言葉は、段々 ただの憎しみの声に変わっていく。

「! 晶…!?」

水鶴がふと振り返ると…


「……ふざけんじゃ…ねェぞ…」


今までに見たことの無いような形相をした晶がいた。




投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 兼古 朝知 」さんの小説

もっと見る

ノンジャンルの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ