14.
−三ヶ月後−
真理は焦っていた。
徹と結婚の約束を交わし、二ヶ月前には徹が借りたマンションで早く 丈 と離婚して暮らすように再三、言われていたのだ。
しかし 丈 と離婚するのに理由がなかった。
非があるとするなら真理の方だから離婚するなら慰謝料を払わなくてはならない。
徹に言えば慰謝料ぐらいは出してくれるだろうが、それは真理のプライドが許さなかった。
そんなある日、真理は買い物に出掛けた最中、偶然に 丈 を見掛けた。
最初は 丈 だと思わなかった。
似ている人だと思っていた。
だって 丈 は仕事の真っ最中なのだから。
しかし似ている。
不信に思った真理は 丈 の後を追った。
どこから、どう見ても 丈 にしか見えない。
丈 はブラブラしているだけだった。
あてもなく歩いている様子だったが暫くすると公園に行きベンチに座った。
真理は そろそろ疲れてきたし飽きてきていた。
公園のベンチに座って2時間もボーっとしているだけで動かない 丈 。
でも何故?…真理は 丈 を横目に見ながら 丈 が居るはずの会社へ電話を掛けた。
電話口には運よく 丈 の上司が出た。
真理は上司の対応を探りながら上手く会話した。
しかし受話器から聞かされた内容は真理の想像を越えていた。
上司の話では 丈 は、かなり前に辞めた、との事だった。
真理は始めビックリしたものの電話を切った時にはニヤリとした。
真理はベンチに座っている 丈 にツカツカと歩み寄った。
真理「こんな所で何してるの?」
その声に 丈 は驚いた。
丈「…」
真理「今日は仕事じゃないの?」
丈「い、いや…あの…」
丈 は何も言葉が出てこなかった。
真理「こんな所で話すのもなんだから家へ戻りましょ。」