バシャバシャと水溜まりの水を弾き飛ばしながら、水鶴が向かった先には…
「!!」
土が盛り上がり、その頂上に木の棒で作られた十字架が立ててあった。
「…間違いない。…ここだ」
水鶴は呟き、十字架に引っかけてあったマフラーを取った。それは圭が いつも使っていた青いマフラー。
思わず握る手に力がこもった。
「その下に…柊 圭は眠ってるわ」
やっとのことで追いついた夕が、息を切らしながら言った。
晶は普段 鍛えているせいか、息切れしていない。
「…ありがとう、夕」
水鶴は素直に礼を述べた。
「お礼を言われるほどの事じゃないわよ」
照れたのか、夕はプイと顔をそむけて言う。
「なぁ水鶴」
晶がニッと笑って水鶴に話しかけた。
「何だ?」
「また昔みたいに遊ぼうなッ」
「…子供じみたことを」
水鶴はフッと笑った。
綺麗な笑顔だった。
――サァアアァァア…
降り続いていた雨が、少し止んできていた。