ホテル一室
ボーイ
「こちらにどうぞ」
案内してきたホテルのボーイが扉の差し込み口にカードキーを差し入れた。
かちり、と微かな音がして扉が開かれた。
彩音
「ご苦労様」
ボーイが扉を開けると水無月彩音は室内に足を踏み入れた。
今日は和服ではなく、カジュアルな服装だった。
部屋の中には大きなテーブルや洒落たデザインのソファー、ベットルームなどがあった。
さすがスイートルートというだけはある。
すると奥の窓側にある椅子に誰かが座っていた。
彩音
「竹内さんか…。
ほかの人達はまだ来ていないのか?」
竹内
「ほかの奴は、来ない」
彩音
「……どういうことだ」
竹内
「それはこういうことだ」
竹内に歩み寄ろうとした彩音が横に飛んだのだ。
何かが彼女の立っていた空間を切り裂いていた。
彩音
「貴様……」
身を起こして彩音は案内してきたボーイに向き直った。
ボーイの両手には小太刀が握られていた。
その動きや小太刀を使った闘い方を見たところかなりの手慣れみたいだ。
どちらにしろ目の前にいるボーイは彩音の命を狙っているのだ。
彩音
「舐められたものだ」
彩音はそう呟くと収納ケースに手を伸ばそうとした瞬間、ボーイは彩音に躍りかかった。
彩音
「バカな奴」
彩音の動きはフェイントだ。
彼女の動きに釣られてボーイが近づいた瞬間に服の袖から何かを抜き取った。
近づいてくるボーイにいくつもの何かが命中した。
ボーイ
「があっっ!?」
ボーイは彩音にところにたどり着くまえに彼女の手前で転倒した。
ボーイに刺さっていたのは柄のないナイフだった。
そして転倒したボーイの頭上から彩音はナイフを突き刺した。
目にも止まらぬほど速く。
ボーイは絶命した。
彩音
「貴様如きに刀を抜く価値もない」
竹内
「流石だな、水無月」
彩音
「説明してもらおうか、竹内さん」
竹内
「フッ……俺を倒せたらな」
竹内は不敵に笑いながら持っていた刀を抜いた。
彩音
「そうか……わかった」
そう言うと彩音も刀を抜きは放った。