天使のすむ湖29

雪美  2006-08-24投稿
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俺は、先生にも誓った。
「先生、俺には、香里も岬も同じくらい大事な人なんです。心の病があっても、不治の病があっても関係ない、同情じゃなくて、共に生きて生きたいと考えています。」
先生はあごひげをなでてから、
「君には過重負担になるんだよ、覚悟は出来てるのかな?」
食い入るように見ていた。
「はい、二人とも好きだから、覚悟はしています。けしていい加減な気持ちで言ってるわけじゃありません。」
俺は言い切った。先生は心配そうだったが
「そこまで言うなら力になろう、ただし私が出来るのはあくまでも手助けに過ぎない、二人を支えるのは君の重要な役目だ、それを変わることは出来ないんだよ。なぜなら香里さんも岬さんも同じように君をすごく頼りにしている。君が最後まで逃げないことだな。」
先生は一息おいて続けた。
「まだ十七歳でそこまで覚悟を決めるには、随分悩んだことだろう。いい言葉を君に教えよう、傾聴という言葉の本当の意味はな、傾けて聴くと書くが、心の声を聴く事を言うんだ。香里さんに表情が無くても話せなくても、心の声に耳を傾けてみるんだ、必ず心の底には何かしら残っていると信じてやるんだぞ。」
「わかりました。」
まっすぐに先生を見た。
「いつでも相談してきなさい。」
と先生は相談用の携帯番号とメールアドレスの書いた名刺をよこした。俺の分のカウンセリングは無料だと言ってくれた。


母もしぶしぶではあったが、香里との事も何とか認めてくれた。
それもそのはず、二学期の成績はトップテンに入ってきたからだと思われる。それを以前教えてくれたのが香里だと知ったからだった。
なんて単純な母親なんだと俺は思った。



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