まぁ少しは予想していたが実際に聞くのは多少なりガッカリするものだ。苦労して現場に来たがあまり成果は上げられなかった。実際現場にこれ以上いるのは得策ではない。
「さて、これ以上は危険だ。さっさと行こう」
「けど、現場には警察官がたくさんいるイメージがあったけど案外いないもね」
京都と雪野は現場を見た感想を言いながら屋上を後にした。
ビルの三階に下りた時だった。下から警官が「ご苦労様です」と、声が聞こえ気になった京都が窓から現場を見ようとした。
「誰か新しい人が来たのかな?」
京都がそう思い窓から現場を覗くと丁度杉本が来て慌てて手袋を拾った瞬間であった。そんなドジな杉本を横目で見ると思わず笑みをこぼし、雪野がさっさと逃げようと促したので京都が振り返ると足もとで金属音がした。
「(ん?)」
京都はしゃがんで拾おうと手を伸ばしたが……その落ちていたものがはっきりとした瞬間京都は雪野を呼んだ。
「なんですか?宇川君?」
雪野はさっさと逃げたいのか早く京都のもとに来てせかそうとするが京都が指をさした先のものを見た瞬間雪野は見入ってしまった。
「こっこれは?」
「やっぱり、これは……あれだよね?」
「これは証拠の一つになるかも!」
雪野が喜んでそのあるものに手を伸ばそうとしたがその手を京都が止めた。当然雪野は「なによ?」と、反発したが
「これはこのままにしておこう」
なんと、生徒手帳並みの証拠になるかもしれないものを放置しようというのだ。京都がすぐに説明をしようとしたときだった。
「鏡京都が廃屋にいるぞ!!!」
杉本が叫ぶ声が路地裏に突如響いたのだ!!
「「なにぃぃぃぃぃぃぃ!!!?」」
京都と雪野が叫んだ方向を見て驚いた。この廃屋の出口は二個しかない。ひとつは警官が見張っている正規の出口。そしてもう一つは一階の奥にある排水管だが、しかしもう一階にはもう警官が入ったようだ。下がバタバタとし始めた。左右のビルにも警官が突入する足音が聞こえてきた……………絶体絶命って奴っていうやつかもしれない