女の子ならやっぱり“かわいい”って言われたいものだ。
でもうちはそんな言葉は期待してない。
あいつにそんな言葉、言えるわけないもん。
それに、うちはそんなキャラじゃないし。
他の女子みたいにバレンタインだとかクリスマスだとか、そんなんでキャーキャー言ったりなんかしない。興味ない。なのに…
――ある日のいつもの場所
「何話してんの?」
何やら楽しげに話す女子3人に声をかけた。
「14日の話!」
目を輝かせて秋奈が言った。
「14?なんかあったっけ?」
「もう〜!美弥!!バレンタインじゃん」
あぁ、そっか。
返ってきたのは3人の呆れた視線。
最近は友達にあげるのが普通やけど、この3人は恋のど真ん中。猛と波音の仲は誰もが知ってるし、秋奈の片思いも一目瞭然。光希も何も言わんけど、恋してんのはうちでもわかる。
「美弥はお菓子作らんの?」
「うん。面倒くさい」
「えー!」
「彼は待ってるかもしれへんで」
「…彼って誰やねん」
「もう!分かってるくせに!…あ!そうや!」
突然秋奈が二人に耳打ちする。それを聞いた二人もにやにや笑う。
「何?」
「よし!美弥!バレンタイン作戦や!!!」