杉本達はドアノブをゆっくりと回して開けようとするが
「(ん?)」
ドアノブを回した警官が顔の眉をひそめた。「どうした」と聞くと、押しても開かないみたいだ。どうやらドアの向こうで二人掛かりで塞いでいるみたいだ。殺人犯でも所詮子供の浅知恵だとその場にいた者が笑みをこぼし、体当たりをして開けた。流石に大の大人が体当たりをしたら鍵がかかっていないドアに体当たりをしたように手ごたえ無く簡単に開けられた。予想外の手ごたえに突っ込んだ警官は倒れてしまったが、その瞬間!
「その場を動くな!この人がどうなってもいいの!?」
なんと、雪野が倒れた警官の足をクロスにして右足で踏みつけ警官の右腕を左腕で固めて右手に持った先のとがった棒を喉に突き刺していたのだ!
「なっ!?」
この行動には流石の杉本でも予測はつかなかった。まさか、雪野が警官を人質に取るとは思っていなかったのだ。右手に持っている棒は廃墟に放置してあった机の支えになっていた棒を折ったものだろう。あまりの展開に戸惑いを隠せなかったが杉本の表情には余裕があった。
「どうしたの!?この人がどうなってもいいの!?」
雪野が興奮したように叫ぶと
「………青山さん、君の資料は見させて貰った。相当優秀らしいね。優秀な人と聞いて慎重になったが、君はある事実を知らなかったようだね」
杉本が余裕な表情をわざと雪野に見せながら話すと
「何の事!?」
雪野は不敵な笑みをこぼす杉本に不気味さを感じて自然に力を入れてしまう。
「警察官はほとんどの者が空手を習っているということさ!」
杉本がそういうと雪野に捕まっていた警官が急に力を入れて雪野の左手を無理やり解こうとした。雪野も警官の予想外の行動に戸惑って振りほどかれそうになった時だった。
「(あれ?)」
完全に警察の勝利だと思った杉本だったが、警官が雪野を振り解こうとした瞬間にある疑問がまた浮かんだ。
「(雪野は一人で警官を人質に取っている……普通は男である鏡京都が警官を人質にとるはず………鏡は!?)」
杉本の疑問が生まれた瞬間に謎は解消された
「そんなことは知っているさ」
突如どこからか京都の声が聞こえた!