慶「“今”は“過去”になっていくけど、“過去”ってのは消えへんから、“今”を頑張るしかないと思う。少しでもいい“過去”として“思い出”になるように。」
翼「慶太郎…なんか…お前、ほんまに俺より年下か?」
慶「そうですよ。」
翼「お前のその中途半端な敬語がなかったら、わからんわ。」
慶「…そうですか?」
翼「でも…やっぱり、お前、好きやわ!ほんま頼りにしてるで」
翼は大笑いしながら慶太郎の背中を叩いた
翼「お前に話して良かったわ。付き合わせて悪かったな!でもおかげでちょっとは楽になった。俺も…もっと大人になるよ。…じゃ、俺、先に戻るな。ありがとう、慶太郎」
翼がスタジオの中に戻るのを慶太郎は座ったまま見送った。
――『慶太郎、俺は頭わりぃから世界に何人の人がおるんか知らんけど、こんだけいっぱい人がおる世界で、同じ夢持って一緒に音楽やれる仲間に出会えたのって、“奇跡”やと思わん?!会えるだけでも“奇跡”やのに。だから、“ワイルド・ワン”は“奇跡のバンド”やと俺は思うねん!』――
慶「…俺らは…“奇跡のバンド”じゃなかったんかな……達兄」
翼のバンドに対する寂しさが慶太郎にも痛いほどわかった