｢うわっ！｣
ザックは驚いて、慌てて剣でその攻撃を受け止めた。
｢まだまだ行くぞ！｣
ダリルは声を上げながら、次々と剣による攻撃を加えた。
｢わっ、わっ、わっ｣
ザックは防戦一方になって、どんどん後ずさった。
｢はあっ！｣
ダリルはとどめとばかりに剣を鋭く薙ぎ払った。
｢うわあっ！｣
ザックの手から剣が弾け飛んだ。
｢おーい、ダリル｣
エナンは困惑したような顔で、ダリルに声を掛けた。
｢何だよ？｣
｢勝負をしてどうするんですか？彼の実力を見る為には彼から反撃をして貰わないといけないんですよ？｣
｢あ…そうか｣
ダリルはしまった、といった顔で頭を掻いた
｢私が代わりにやりましょう｣
エナンは木剣を持ちながら小さく息を吐いた。
｢エナンさんが…？｣
ザックは意外そうな表情でエナンを見た。
｢学校では剣術が必須だったのでね。文官の卵でも剣術が一通りできないとダメなんですよ｣
エナンは苦笑しながら、剣を構えた。
ザックは飛ばされた剣を拾って元の場所に戻ると、小さく息を吐きながら剣を構えた。
｢まずはザックさんから打ち込んできて下さい｣
エナンは剣を横にして、刃の部分に左手を添えた。
｢わかりました｣
ザックは小さく頷くと、一気に間合いを詰めて上段から激しく打ち込んだ。
剣と剣の擦れる音が辺りに響く。
｢なるほど。速さと強さはなかなか｣
エナンは大きく頷きながら、痺れた左手を軽く振った。
｢素振りは随分とやっていたみたいですね。型がしっかりとしていて、速さも備わっています｣
｢あの人から素振りの型だけはしっかりと教わりましたから｣
ザックは照れ笑いを浮かべて、頭を掻いた。
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