――当日
「もう美弥!じっとして!」
「だってなんか目きもいもん」
「あーかーん!今日は可愛くせな!」
秋奈の服を着て化粧に髪型も変えられた。
こんなんうちじゃない!!
しかめっつらで鏡の前に立たされると、楽しそうに覗き込む3人。
「やば…」
「可愛いー!!」
「…」
「よし!行こうか!ちゃんと作ったお菓子持ってきた?」
料理はわりと得意。でもお菓子なんか作ったことない。そんなうちが3人にしつこく言われて作ったのがチーズケーキ。
チーズケーキを作ったのにはわけがある。
翼の亡くなったお母さんがよく作っていたのがチーズケーキやったから。
「お待たせー!」
「もーお前ら何やって…みっ、美弥?」
わけを知ってる拓朗達は、笑いを堪えながら驚く翼を観察している。
「どう?翼!美弥の変身ぶり!」
「…か…」
「「か?」」
「…?」
別にかわいいなんて言われいわけじゃない。…でも、やっぱ期待するやんか
「…か…か……いぶ…つ」
いつもならすかさずいれるつっこみも、する気にならんかった。
やっぱりか。
「もー翼!」
「あはは!だって…」
「…帰る」
「「え?」」
「帰る!」