その場にいた警官はすぐに京都の姿を確認しようと辺りを見渡したが京都の姿はどこにも見えなかったその瞬間
「グフッ」
雪野の拘束を解こうとした警官のうめき声が聞こえた!杉本らが雪野を見るとそこには警官の鳩尾に警棒を当てて気絶させている京都の姿があった!!
「形勢逆転だな。さぁこの警官の命が惜しければ俺達の言う事を聞くんだな」
今度は京都が気を失った警官の首を腕で軽く絞めて雪野から渡された棒を突き立てた。気を失った警官は無防備な人質となってしまったのだ
「(クソッ!最初から警官の気を失わせるつもりだったのか!)」
杉本は、高校生に裏をかかれたことに腹を立てた。
しかし、形勢は完全に京都達が有利になった。警官が雪野たちを説得しようとするが、雪野は人質となった警官の腰から拳銃を取り出し銃口を杉本たちに向けて
「早く私たちの言うとおりにしなさい!」
と、再度脅しかけたのだ。雪野と京都のマジな顔に杉本は
「分かった。何が要求だい?」
と、負けを認めて雪野たちの要求を呑む事にした。どうせ逃走用の乗り物をよこせとかいうのだろうと、思っていたが京都達の要求は意外なものだった。
「今から一時間、この廃墟から半径五十m全員離れてくれ」
と、この場から立ち去る事だけが要求してきたのだ。
「たったそれだけでいいのか?」
あまりにも安い要求に杉本は唖然としてしまった。
たとえこの廃墟から全員撤退しても外に出たら一目瞭然でわかってしまう。それよりかは映画とかによくある逃走用の車を用意しろの方がまだ幾分逃げる希望はあるというのに…無免許だが……そう思った杉本だったが、それ以上要求されても困るので要求を呑むことにした。
百木に状況を説明してやむをえず廃墟から撤退した杉本たちは約束通り1時間待つと完全防備で廃墟に突入した
しかし………
「いっいない………」
廃墟には人質だった警官と奪われた拳銃と警棒・凶器に使われた棒が一階に落ちていただけだった。