《ドイツ・ハーメルン》
「なあ、アヒム。イタリアのシチリア島ってのはさ、やっぱりサッカーボールの役割なんだな。
だからバッジョみたいな天才が生まれるのさ。
イタリアのサッカーってのはどんなに泥臭い一点でも最後まで守り通すスタイルなんだ。カテナチオだっけか?まあいいや。
でもさ、その一点をとるのはやっぱり絶対的エースなんだ。なあイタリアって足の形してるだろ?」
「それがどうしたんだ、オットー。」
アヒムは催促がましい声で言った。
「まあ聞けよ、アヒム。その本土のつま先にあるのがシチリア島だ。そこはさ、地中海に面していて、太陽と海のアートなんだよ。」
「…」
「俺、幼少の頃に一度だけ行った事あってさ、だけどイタリア人ってのは頭の方は悪いのかな。
そんな海に目を向けるどころか、終始浜辺でカップル同士ベタベタしてるは、奇声を発するは、それも海に背を向けてだぜ?お前、どう思う?」
「ああ、そうだな。」
「おいおい、それじゃ答えになってねえよ。俺が聞いてんのは、どう思うかって事だ。」
「イタリア人がバカだって話だろ?」
「…もういいよ。」
オットーは呆れて肩を落とした。
「…」