──朝。目を覚ますと、全然知らない部屋で寝ていた。
薫「ここ…何処?」
拓海「俺の家」
すぐ横で拓海の声がする。
…そうだ、お兄ちゃんなんだ……
白い壁の大きな部屋。
見慣れてないせいか、目がチカチカする。
いつもは茶色の木で出来た天井があって…
あ!慎、心配してるよね。…帰らなきゃ。
薫「…らなきゃ」
拓海「どーした?」
薫「帰らなきゃ…!」
拓海「ちょっと!!」
お兄ちゃんに引き止められてしまった。
薫「私、慎のところに帰るから。帰らせて」
拓海「慎って誰だ!」
薫「……お兄ちゃんには関係ない」
拓海「とにかく、俺達は兄妹だぞ?家族なんだから一緒に暮らして当たり前だろ?」
薫「私は父ちゃんと離れて暮らしてるけど?」
拓海「………っ…」
薫「帰る」
─慎…待っててね…
バタンッ
拓海「慎…?」
…………………
拓海「……誘拐…するか…」