3-1 ゆきにい
私は多哀家にある,
ゆきにいの居る六畳間に入った。
驚いた事に,
家は怠慢通りの突き当たりの神社だった。
これなら奴がしょっちゅう怠慢通りに居たことに説明がつく。
『アオイのことは,気にせずとも大丈夫ですよ。』
どこかたじろぐ私に,
ゆきにいは言った。
『でも,怒っているんじゃないですか?』
『いいえ,』
と,ゆきにいはプッと吹き出した。
『照れてるんですよ。
友達を自分の家に入れるの,初めてだから。』
『初めて?
やっぱりアイツ,
昔から1人だったんですか?』
多哀は,
ずっと孤独に生きてきたのであろうか。
だとすれば酷く悲しい。
私は,孤独に耐えられない。
周りから寂しい奴とか思われるのが怖がったから。
だから,
常にぐっさんをはじめ色々な人とつるんできた。
友情など無い。
表面だけだけど。
そんな自分が嫌い。
嫌な奴とは自分の事を言うのではないかと思う程に。
『私が悪いんですよ。』
ゆきにいから初めて笑みが消えた。
『呪いの事は,
既にアオイから聞いてご存知ですよね?』
『はい。七夕の‥。』
『呪いがかかった者は,それを知らされずに20まで育てられます。
だから20で死ぬ理由が呪いのせいだなんて,当の本人は知らないのが普通なんです。その方が何かと便利でしょアオイもそうなる筈でした。自分が20で死ぬなど知る由もありませんから,それまでは明るく友達も多かったんです。けれど‥』
ゆきにいは辛そうに頭を抱えた。
〇〇続く〇〇