3-2 ゆきにい
『私が,明かしてしまった。』
私はゆきにいの言葉に真剣に耳を傾けた。
『あの子が,未来に夢と希望を抱いていたから‥,哀れに思ってしまったんですよ。
未来を夢見ていてはいずれ現実に傷ついてしまう。だから今だけを見て精一杯生きなさいと伝えたかったんです。でも‥。』
『でも‥?』
『あの子は死を受け止められる程,強い子ではなかった。幼すぎたのです。呪いの事を聞いてから,
1ヶ月も泣き伏してしまいました。それから人が変わったように孤独を好むようになったのです。』
ゆきにいは力無い目で私を見た。
『‥残酷ですよね。私って。』
『っ違いますよ!!』
ゆきにいがあまりにも重い荷を背負っているかの様に見えた私は,つい力が入ってしまった。
出会って間もないけれど,ゆきにいは誰よりも,
多哀を可愛がり愛おしく思っているのが分かる。
そう,
ゆきにいは人一倍,
『優しい人なんですよ。
あなたは。』
私はこの時,
初めて人を理解できた気がした。
『約束しました。アイツと。私が,呪いを解いてやると。』
それが,
多哀もゆきにいも救える唯一の方法だった。
『ありがとう‥。』
そう言ったゆきにいは,無理やり元の笑顔に戻っていた。
〇〇続く〇〇