アオイ、そら。8

沖田 穂波  2010-05-05投稿
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3-2 ゆきにい

『私が,明かしてしまった。』

私はゆきにいの言葉に真剣に耳を傾けた。

『あの子が,未来に夢と希望を抱いていたから‥,哀れに思ってしまったんですよ。
未来を夢見ていてはいずれ現実に傷ついてしまう。だから今だけを見て精一杯生きなさいと伝えたかったんです。でも‥。』

『でも‥?』

『あの子は死を受け止められる程,強い子ではなかった。幼すぎたのです。呪いの事を聞いてから,
1ヶ月も泣き伏してしまいました。それから人が変わったように孤独を好むようになったのです。』

ゆきにいは力無い目で私を見た。

『‥残酷ですよね。私って。』

『っ違いますよ!!』

ゆきにいがあまりにも重い荷を背負っているかの様に見えた私は,つい力が入ってしまった。

出会って間もないけれど,ゆきにいは誰よりも,
多哀を可愛がり愛おしく思っているのが分かる。

そう,
ゆきにいは人一倍,

『優しい人なんですよ。
 あなたは。』

私はこの時,
初めて人を理解できた気がした。

『約束しました。アイツと。私が,呪いを解いてやると。』

それが,
多哀もゆきにいも救える唯一の方法だった。

『ありがとう‥。』

そう言ったゆきにいは,無理やり元の笑顔に戻っていた。


〇〇続く〇〇



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