〜一時間前〜
「えっ!?警官を人質にとるの!?」
杉本が現場で叫んだ数分後、杉本が声で自分たちの居場所がばれた雪野は京都の奇想天外なアイディアに驚きを隠しきれなかった。というか無理だろうと、半ば呆れていた。警官はこの廃墟の周りに数え切れないほどいた中、警官を一人人質にするのは無理だろうと思った雪野に対して京都は
「時間がない!ここで無理に………例えば隣の廃墟に逃げてももう包囲されているに違いないよ。それよりも僕の考えをちゃんと聞いて。まず二階に上がるにはドアがあったよね?」
「……ええ」
「そこのドアで警官を待ち伏せする。そのドアの前はせまい階段で必ず一人ずつ上ってくるはずだ。そしてドアの前で初めはドアを二人で押さえて閉じておき、わざと僕らがドアの裏から閉じていると分からせておく。そして二回目はドアから離れておく。そうすることによって警官は無理やりにでも入ろうとしてドアを体当たりか何かをして入ってくるだろう。けど、僕らはドアから離れているから警官は勢い余って一人で二階に入ってくる。そこを雪野さんが警官を人質に取るんだよ」
「えっ!私が!?」
雪野はまさか自分が直接警官を人質に取る役をやるとは思っていなく驚くがそれを無視して京都は説明を続けた。
「いいかい?ここがミソなんだよ。だいたい警察は僕らが逃げるしか考えていないと思っている。そこを雪野さんが一人で警官を人質に取ってみると警察は正直戸惑うと思うんだ」
「けど、昔TVで警察官はみんな空手とか何かをやっているって聞いたよ。それに私じゃ男の人を人質に取るのは難しいと思うよ」
雪野が思い出したのか言ってみると
「うん。僕もそんな話を聞いたことがあるよ。大丈夫………俺を信じて」
京都は雪野の手を取って目をじっと見つめて説得した。雪野は成功しないかもしれない作戦に京都の目を見た瞬間なぜかのってしまった。なぜだか成功すると思ったのだ。
〜現在〜
京都と雪野の二人は排水官の中を走っていた。
そう彼らは一階の奥にある排水管から脱出を図っていたのだ。