あほみたい。
素直に可愛いなんて言うわけないやん。
あれが照れ隠しってのも分かってる。
でも、他の子みたいにうちには一生かわいいなんて言ってくれへんの?
やっぱり、ずっとこのままなんや。
もっと違う出会いをしてれば、もっとお互い素直やった?
うちは翼にとって特別な存在って知ってるし、うちにとってもそうやってあいつはよく知ってるはず。
でも、もう要らん。
こんな関係。
あーもういいっ!
「美弥ー!み!…やぁ…」
追ってきた翼。睨むうち。
「なんか用?」
「あー、ごめん…素直じゃなくて」
ポツリと最後に小さくつけたした言葉。
もういいよ。もう慣れた。
「許さん」
「え!?」
投げつけたお菓子の箱。あんなに綺麗にできたのに、きっともうグチャグチャだな。
「…何…?」
「“まずい”って言ったら許さないから」
「あ、ありがとう!」
さっさと歩きだすうちに向かって、翼がさらに一言。
「お前でもそういうの似合うねんな!」
でもって何や。まあ…それでもいいや
「うるさい」
やっぱりもうしばらくは今のままか。
でも待っとけよ。
いつか、素直な言葉、吐かせてやる