4月4日 日曜日
深夜0時
短い針と
長い針が交差して
低い音が広い屋敷に響き出した。
「赤ばら気高く夜を見て♪ 茨を這わせて
身へ潜む♪ 今夜のディナーはどちら様♪
心が 弱まり
ここへ来る ♭
赤い心臓食い散らし
赤薔薇潤ませ
こ こ へ
誘いたまえ 」
クスクス
クスクス
不気味な笑い声が
人のいない古びた屋敷に
こだました.
そう
ここにいるのは一輪の
人喰い薔薇だけ――――.
《ガチャ
「・・・・ねぇ やめない?」「今更なんだよ?」
灰色の埃が扉の付近に舞い
同時に不気味な笑い声も 止まった.
「だだだ・・・だって・・・」
「お前が俺を誘ったんだろ」
「ぅっ・・・だって前ここ通った時に笑い声が・・・」
「ぶっ なわけないだろ」
弱々しい小柄な女の子
刺々しい狐目な男の子
薔薇が誘ったのだろう
美味しいディナーだ
クスクス
クスクス
クスクス
「キャッ!!!!」
笑い声は 少女の叫び声に掻き消された.
「な なんだよ!!!」
続く――.