｢ありますよ。剣技の見本みたいなものは何度も見せてくれましたから｣
｢なるほど｣
エナンは小さく頷いた。
｢あの…実はエナンさんに一つ質問があるんですが…｣
ザックは遠慮がちに手を上げた。
｢何でしょうか？｣
｢リリアさんに関してはご両親がこの活動を知っているのですが、…その、エナンさんやダリルはそこの所どうなんでしょうか？｣
｢うちやダリルの両親はこの事を既に知っていますよ｣
エナンは即答した。
｢そ、そうなんですか？反対されたりはしなかったんですか？｣
ザックは驚いて、エナンに尋ねた。
｢実は大爆発が起こった村は以前からこの村と友好関係にあったんです。それだけに結び付きも強くて、あちらからこちらに嫁入りした例が多く、この村にある半分以上の家はあちらの村の血が混じっているんですよ｣
｢あ…なるほど。という事は、こちらの村人たちの大半が大爆発を恨みに思っているんですね｣
エナンはその言葉に対して首を横に振りながら、
｢いえ、この事実を知っているのは私とリリア、ダリル、そしてミーナの親族だけです｣
と、言った。
｢え…？でも、それだと怪しまれませんか？｣
｢大丈夫ですよ。何せ私は村長の息子ですから｣
｢え…ええっ！？｣
ザックはその答えに思わず声を上げた。
｢あ、言ってなかったですね。私の父は現在村長を勤めているんですよ｣
エナンは苦笑した。
｢はあ…そうすると、やっぱりエナンさんのご両親もあちらの村との繋がりが？｣
｢ありますよ。父の母親、つまり祖母があちらの村出身ですからね｣
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